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内視鏡検査コラム

  • 執筆者の写真OOISHI

なぜ胃カメラは苦しい?その理由を徹底解説


これまでに胃カメラで検査を行い、とても苦しい経験をしたという方も少なくありません。今回は、胃カメラが苦しいと感じる理由や、苦しさを軽減させる方法などをご説明します。


 

胃カメラはなぜ苦しいのか?


胃カメラが苦しい・痛いと感じるのは、主に以下のような原因が考えられます。


咽頭反射

内視鏡検査ではスコープを口から挿入し、食道や胃、十二指腸などを観察します。胃カメラを飲み込むとき、オエっとする吐き気が咽頭反射と呼ばれ、異物を飲み込まないための防御反応として知られています。胃カメラが舌の最も奥に位置する舌根にあたると、強い吐き気をもたらすといわれています。一般的に咽頭反射は加齢により機能が落ちやすいとされているため、若い方に起きやすいと考えられています。また日常生活において、歯磨きの際にも吐き気を感じるような方は、咽頭反射を引き起こしやすいとされています。


腹部の張りや不快感

通常、胃カメラで検査を行うときには、カメラの先端から空気を送り、胃や腸を膨らませて観察します。胃カメラの検査終了後には脱気をして空気を抜きますが、一部は腹部に留まるとされています。そのため、吐き気や腹部の張り、不快感を訴える方もいます。


 

胃カメラの苦しさを軽減するための工夫


胃カメラの苦しさ・痛さが少しでも軽くなるように、医療機関ではさまざまな工夫が施されます。


咽頭麻酔

麻酔薬をスプレー状やゼリー状にして麻酔することで、局所的に感覚を鈍らせ、咽頭反射(管が喉を通るときのオエッという反応)を起こしにくくなります。個人差はありますが、咽頭反射による吐き気が軽減されることで苦痛が軽減します。


鎮静剤の使用

検査直前に点滴により鎮静剤を投与し、患者が眠っている状態で内視鏡検査を行います。寝ている間に検査が終わるので、咽頭反射が起きにくくなります。この鎮静剤を使った胃カメラの注意点として、覚醒した後は転倒や事故のリスクが上がるため当日の自動車やバイクの運転などは禁止されています。鎮静剤を使用して胃カメラを行う場合は、公共交通機関を利用する、または家族や友人に送迎をお願いしましょう。


経鼻内視鏡

経鼻内視鏡とは鼻からスコープを挿入して検査する方法です。口からスコープを挿入する経口内視鏡に比べ管が細く、咽頭反射を起こすとされる舌の奥の方にほとんど当たらないため苦痛が少なくなります。管が細いため、これまでは経口内視鏡のスコープに比べ画像の解像度や操作性が劣るとされてきました。しかし近年ではメーカーの開発技術の発展により、経口内視鏡の画像の解像度や観察可能な角度などとほとんど変わらない性能を備えるようになっています。


炭酸ガス送気装置

通常、胃カメラを行うにあたって胃を膨らませるために空気を入れますが、近年では酸素の代わりに炭酸ガスを使用している医療機関もあります。炭酸ガスは空気の100倍近い速さで体内の水分に吸収されるとされ、不快感が早くなくなると考えられます。


医師の技術向上

検査時間は短い方が身体への負担は少なくなりますが、検査時間が短くなるかどうかは医師の技術により大きく変わります。患者さん側が検査を受ける前に医師の技術を確かめる方法はありませんが、内視鏡の専門家である消化器内視鏡専門医のライセンスを持っているかどうかなどを確認することで、その医師にある程度内視鏡の専門知識や検査経験があるかどうかがわかります。


 

まとめ


咽頭反射を起こしやすい方や、胃カメラで苦しい経験をされた方は、内視鏡検査を受けることに対して不安感が強いかもしれません。しかし各医療機関では、医師や看護師などが患者さん一人ひとりの状態に応じて、丁寧にサポートしています。お近くの内視鏡ドクターにお気軽にご相談ください。




【参考】

(1)日本消化器内視鏡学会 指導施設申請


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