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内視鏡検査コラム

  • 執筆者の写真WATARI

内視鏡検査とはそもそもどんな検査?わかりやすく解説!


内視鏡検査とは


内視鏡検査とは、体の外部からは直接見ることができない臓器の中に、細長い管状の器具を挿入して内部を観察する検査です。主な検査の対象となる臓器は、消化管、鼻腔、気管、気管支、膀胱、子宮など、穴を通して体の外に繋がっている臓器です。

例外として胸腔や腹腔などの普通は体の外と繋がっていない体内の空間に対しても、切開して体に穴をあけることで内部を観察する検査を行うことができます。


胃カメラ

胃カメラは、口または鼻から挿入された細いスコープにカメラが内蔵されており、食道、胃、十二指腸を直接観察します。特に初期のがんや食道がんの自覚症状が少ない場合に有効で、がんの早期発見に寄与します。検査は苦痛やつらさを伴い、特に喉を通る時に吐き気や不快感が生じることがあります。


大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、肛門から挿入されたスコープに内蔵されたカメラを使用して、大腸と小腸の一部を観察します。主な目的は大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患の診察で、早期発見・治療が可能です。検査前に下剤を使用して排便を促す必要があり、これがトイレの利用回数に関する抵抗感を引き起こす場合があります。


 

内視鏡スコープについて


内視鏡は用途に合わせて最適な細さ、長さ、柔らかさに作られており、さまざまな種類があります。例えば上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、鼻咽頭喉頭鏡、気管支鏡、膀胱鏡、子宮鏡などです。手術などで用いられる胸腔鏡、腹腔鏡、関節鏡も広い意味で内視鏡の仲間です。


内視鏡は管の硬さによっても区別され、柔軟に曲げられる内視鏡を軟性鏡、硬い棒状の内視鏡を硬性 鏡といいます。また内視鏡の先端に超音波装置をつけた超音波内視鏡は、表面にある病気がどのくらいの深さまであるかを診断するだけでなく、表面から見えない深い場所にある病気を発見したり、隣接する臓器に病気があるか診断したりすることもできます。


他にも一般的な内視鏡が届かない小腸の内部を観察するために使用される小腸内視鏡やカプセル内視鏡もあります。整形外科領域では関節内を観察するために関節鏡が使われます。


 

内視鏡検査は進化している


内視鏡は近年急速に進歩を遂げており、消化器内科領域だけではなく、呼吸器内科、循環器内科、消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、産婦人科、整形外科などの検査、治療でも使用されるようになっています。それぞれの領域では診断精度の向上により病気の早期発見が可能となり、検査自体の体への負担を減らすことにも貢献しております。


たとえば昔から東洋人に多い病気として胃癌(がん)があります。内視鏡がなかった時代、胃癌は症状が出るまで発見されないことが多く、症状が出た時にはすでに根治不能という状態が珍しくありませんでした。しかし現在では、胃癌は早期発見することができれば治癒させることが可能な病気となり、ピロリ菌の除菌治療の普及やがん治療の進歩も相まって、平成 23 年以降日本の胃癌の死亡者数は年々減少傾向になっています。


また内視鏡は検査だけでなく治療方法も進歩させています。もともと体を大きく開いた外科手術を行わなければ切除できなかった癌が、現在では条件を満たせば内視鏡治療のみで治癒できるようになっています。また内視鏡だけで切除できない場合も、胸腔鏡や腹腔鏡などを用いることで小さな傷口から手術を行うことができるため、体への負担を減らすことができます。


 

内視鏡検査の麻酔


内視鏡検査自体の苦痛を減らす方法として、検査前に局所麻酔薬を使用することがあります。例えば上部消化管内視鏡検査の前には喉に局所麻酔薬を含んだ液体を貯めたり、喉に局所麻酔薬のスプレーを噴きかけたりします。これは痛みを感じなくする目的だけではなく、嘔吐反射を抑えて苦痛を軽くする効果もあります。


また下部内視鏡検査の前には肛門に局所麻酔薬を含んだゼリーを塗ることで、内視鏡の滑りを良くするだけでなく、痛みも同時に軽くすることが期待できます。


さらに苦痛を軽くする方法として、点滴の鎮静薬を使いながら意識を低下させて内視鏡検査を行うことがあります。この鎮静薬は全身麻酔に用いることもある薬剤で、使用すると徐々に眠く なり、検査が終わるころに点滴を中止すると自然と目が覚めてきます。


ただ目が覚めたと思っていても本来の覚醒状態に戻るまでにはさらに時間が必要なため、検査終了後もすぐに帰宅することはできず、当日は車の運転もできません。検査を受ける人の年齢、体格、臓器の機能によって鎮静薬の必要量は異なります。そのため鎮静薬が効きすぎた場合に、呼吸がゆっくりになり血中の酸素飽和度が下がることがありますが、病院内で適切に対処した場合は心配ありません。


 

内視鏡はとにかく清潔に保つ


内視鏡は体の内部を観察する医療器具であり、検査を受ける方への感染を防ぐために十分に清潔であることが要求されます。一方で口腔内や消化管内などの細菌の多い環境で使用されることも多いため、常に汚染される機会に晒されています。そのため内視鏡は一回の使用ごとに内視鏡 自動洗浄機で洗浄されています。


しかし本邦では施設によって適切ではない洗浄方法が行われている事例も報告されており、日本消化器内視鏡学会では「消化器内視鏡の洗浄、消毒標準化に向けたガイドライン」を策定し、適切な内視鏡洗浄方法の普及に努めています。

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