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内視鏡検査コラム

  • 執筆者の写真WATARI

内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)のメリットとは?



内視鏡は体を傷つけずに体の中を検査できる


内視鏡検査の最大の意義は、体の表面に傷をつけずにカラーの映像でリアルタイムに臓器の内部を直接観察できることです。以前から行われている消化管造影検査(いわゆるバリウム検査など)では影絵のような白黒画像で診断するしかありませんでした。しかし内視鏡検査を行うことで病気が疑われる部分の色や形、周囲の血管の状況などを詳細に観察することができるようになり、病気をより早期に見つけやすくなっています。


さらに病気を見つけやすくする工夫として、内視鏡の先端から色のついた薬剤を撒いたり、内視鏡から出る光の周波数を調節したりして、さらに診断精度を向上させることができます。


 

内視鏡は病気の診断に役立つ


また病気が疑われる部分を切り取って検査に出すことができるのも、内視鏡検査の大きなメリットです。これにより採取した病変を顕微鏡でさらに詳細に観察することができるため、良性悪性の確定診断をすることができます。


このような病気の一部を切り取って検査に出すことを生検(バイオプシー)といいます。一見癌のように見えるけど実は癌じゃなかったという場合や、逆に癌じゃないように見えるけど実は癌だった、ということはしばしばあり、この生検の結果次第で全く異なる治療法が行われることになります。


内視鏡検査が様々な臓器で行われるようになってから生検ができる病気が飛躍的に増加しました。そもそも癌治療は他の病気の治療に比べて体の負担が大きい治療法が多い傾向にあります。


内視鏡検査による生検で確定診断を行うことで、効果的な治療方法を選択できるだけではなく、無駄で有害な治療方法を選ぶ危険性を下げることができます。最近は生検により癌の確定診断だけではなく、癌の遺伝子の型(サブタイプ)を決定した上で治療法を選択することが多くなっているため、内視鏡検査の重要性はさらに高まっています。


 

内視鏡は病気の深さまでわかる


超音波内視鏡も有用な診断方法です。これは内視鏡の先端に取り付けた超音波装置により、表面に見える部分だけでなく病気の深さまで診断することができるので、病気の進行度についても情報を得ることができます。


さらに超音波内視鏡は内視鏡を挿入している臓器だけではなく隣接する臓器の情報も得られます。例えば胃の超音波内視鏡を行うことで隣にある膵臓の観察を行い、膵臓の深いところにある病変に針を刺して生検を行うこともできます。


また内視鏡検査自体には消化管造影検査やCT検査のような被曝の心配はありません。ただし内視鏡検査とX線検査を同時に行う場合(小腸内視鏡や内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査など)は多少の被曝を伴います。


 

内視鏡は検査と同時に治療ができる


内視鏡は検査と同時に治療も行うことができます。例えば消化管の中で出血している部分を発見した場合には、出血している箇所に医療用のクリップをかけたり、薬剤を注入したりして止血を試みます。その他にも止血法は様々あり、出血した原因や部位、出血の程度などを考慮して最適な方法を選択します。


また癌も大事な治療対象です。以前は癌を切除するためには体に大きく開いて臓器を切除することしかできませんでしたが、現在は条件を満たした癌は内視鏡で治療することが可能になっています。この条件を満たさない癌も、胸腔鏡、腹腔鏡などを使うことで、以前より小さな傷から手術を行える場合も増えているため、体の負担を減らした治療方法を選択することができるようになっています。



その他の治療として、何らかの原因で狭くなった消化管や尿管にステントと呼ばれる金属やプラスチックの管を入れることで広げることができます。これにより体に負担の大きい手術を回避できることがあります。


 

内視鏡検査の唯一のデメリット


内視鏡検査にはデメリットもあります。一つは体の中にある狭い管の中に挿入する必要があるため、検査に苦痛を伴うことがあります。


また内視鏡の通過によって粘膜を傷つけてしまうことがあり、検査の後も痛みや違和感が残る場合もあります。


そのような苦痛を軽減するため局所麻酔薬を使用することがありますが、人によっては局所麻酔薬によってアレルギー反応が起こることがあります。


非常にまれですが、内視鏡の挿入によって臓器に穴が開いてしまった場合は入院治療が必要になることがあります。


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